ひさしぶりに真面目な本を読んだのでレビュー。
特にコピーライターを目指しているわけではなく、
仕事上でキャッチやタグラインを書くことがあるので(いちエンジニアが書いていいのかという疑問はあれど)、その最適化のために知識を得ようと思って読んでみた。
全体としては、いままで文章を書くときに
無意識に行っていたことの言語化と体系化が三章までで語られている感じ。
後半はコピーライターはどう仕事に取り組むのがよいかの話なので、
あまり興味をそそられるものはなかったかな。
感覚で行っていた作業を言語化・体系化してもらえたので、
まず何をすべきかで何の情報が足りないのか、本を片手にフローを形成していけそうな気がする。
サイトを作る際にどういう文章で人を呼べばいいかとか、
メインイメージどうしようとか悩んでいる人は一度読んでみたらいいかと。
以下、個人的なメモとして本文中でチェックしたもの備忘録。
パラパラ見ることはできないがチェックしたところを一覧で見られる Kindle はやはり便利だ。
Kindle からメモをシェアして Twitter でまとめて見ればいいかと思ったけど、
文章をうまいこと短くできないので(いつも長くなってしまう。。)ブログに載っける。
第一章 そもそも広告コピーって何
言葉で商品の価値が上がる
「言葉を使ってモノとヒトの新しい関係を創り、商品や企業の価値を上げる」のが、広告コピーによる広告クリエイティブということです。
広告として“成立しない”コピー
“カテゴリー”でコピーを書いてしまうと、見た目「それっぽい」だけの中身の無いものにしかなりません。広告コピーとして成立していないのです。
マーケティング用語でUSP(Unique Selling Proposition)と言います。直訳すると「独自のうちの提案」。一般的には「競合優位性」と訳されます。
-情報システム用語事典:USP(ゆーえすぴー) - ITmedia エンタープライズ
コモディティ化とハイコンテクスト
日本でプロの広告クリエイターとして働くなら、知っておくべきことがあります。まずは「コモディティ化」という言葉。
「コモディティ化」以上に知っておくべきなのは、「ハイコンテクスト」という言葉。コミュニケーション・意思疎通をはかるときに前提となる言語、体験、価値観、考え方などが非常に近いという意味です。
誰が買ってくれる可能性があるか
自分が広告しようとしている“モノ”(=商品)はいったい何なのか。他の競合商品とどう違うのか。それを“どんなヒト”(=ターゲット)に売るべきなのか。
「キャッチフレーズ」と「タグライン」
広告コピーとは、価値が最大化されるように商品を「定義付け」するもの。
この「定義付け」に特化したコピーを「タグライン」と呼びます。「タグライン」は、よく商品ロゴの上に置かれていたりするコピーです。
目を惹かせるのがキャッチフレーズで、
これは何なのか定義付けさせるのがタグラインという位置づけかな。
Web で言うところのタグラインとも言っていることは合っていると思う。
ただ Web ではキャッチの方ばかり重視されていて、タグラインが軽視されている印象はある。
タグラインはむしろベタで
タグラインは「わかる」ことが何より重要なんです。
キャッチフレーズで視界に捉えてもらい、
タグラインでなにかを理解させるという役割だとしたら、
たしかにタグラインで奇抜なことをいう必要はない。
タグラインは自己紹介のようなものだと捉えればいいのかな。
その商品がない状態での不満、不安のMAXを描く。あるいは、その商品を入手した状態でのうれしさ、気持ちよさのMAXを描いてあげればよい
いかに「共感」されるかがポイント。
売り手が言いたいことではなく、買い手があるあると共感してくれる情景を描く。
ビジュアルに替えられない言葉
日本ではコミュニケーション全体が「非言語」にどんどん移行してきています。
LINE のスタンプや絵文字を出されるとなるほどなと思う。
では、商品を説明するときも文章がいらないかというとそうではない。
CM や動画媒体なら「非言語」で伝えることも可能だが、
文字以外の表現方法の比率が多い媒体だと、文字が担う部分は重くなる。
画やジェスチャーは「曖昧さ」を含むが、文字は「確約」を含む。
第二章 コピーを「考える」
まずなにから始めるか
ただの「特徴」とUSPを混同しないこと
競合優位性なのだから、どの商品でも持っている機能を伝えても意味がない。
その商品なら持っているべき特徴と伝えても意味がない。できてあたりまえだから。
商品の知名度が低ければ、そこを教えるところから伝えなければいけないので、
そのときに特徴を伝えるのはいいが、最後の決め手のポイントではどうしても USP が必要となる。
なぜこの商品を選んでもらうのかという決め手。
他にはないポイントそれが USP。
「ターゲットインサイト」とは
ターゲットが秘めいている本音、欲求、不安、そういった心情を「ターゲットインサイト」と言います。
インサイトは見つけてくる、拾ってくるもの。「こうだろう」と決めつけるのは危険なことです。
リアル店舗の場合はアンケートやグループインタビューを行うのが最適だが、
Web の場合はログからの行動集計がメインとなってくる。
ビックデータの集計とか DMP とかは、結局ユーザのインサイトを見つけたいからやっていることでもある。
タグラインが先、キャッチフレーズは後
コピーと書くときに先に書くのはタグラインであるべきです。キャッチフレーズはその後。その理由は、繰り返しますが、タグラインのほうが需要だからで、戦略そのものだからです。
タグラインは一本通った芯のようなもの。
そこがずれると全体がずれるので、まずはそれを定めるところから。
ターゲットに、「自分に関係ある話かも」と一瞬で感じてもらうこと
前述した共感ですな。
第三章 そもそも広告って何
テレビ CM の役割は「商品の疑似体験」をさせること
テレビCMはどちらかと言うと「伝える」よりも「させる」メディアなのです。
CM の飯テロとかが分かりやすいかな。
おいしさを伝えつつも、食べている役者の演技で、まるで自分も食べたかのように思わせる。
脳の自動補完も手伝って、食べてもいないのに商品やブランドを見ただけでおいしいと錯覚させる効果を産ませる。
「自己実現」という最終欲求
この商品を買うと、あなたの人生にこんなストーリーが生まれますよ
「憧れブランド」と「ブランド」
「憧れブランド」とは「共通認識」とニアリーイコール
〇〇ブランドを持っている人は金持ちや成功者というイメージを持つ。
実際に本人がどうであれ、そのように思わせるのは共通認識のなせる技。
第四章 コピーを書く「姿勢」
クリエイティブはワンチャンス!
僕は常に「回答」のつもりでプレゼンしています。企業は課題解決を望んでいるからです。唯一の正解ではなくとも、提出するものは確度の高い仮説でなければいけないと思っています。
提案するだけでは不十分で、本気で向かわなければいけない。
フリーランスの人とかはそうだと思うが、案件につながるチャンスは一度か多くて二度。
社内の仕事であれば何度かチャンスが来るかもしれないが、それでも多くはなく有限。
企業側もヒマじゃないから可能性が低いところには頼まないし、
別に他にも探せばいくらでもあるのが現在の市場だったりする。
中途半端は悪。出せないにしても次に繋がる期待だけは残しておかないといけないと思う。
足掻く。それが唯一の剣。
プロにおいてコピーの「勉強」というのは、類似商品、競合商品が気づいてきた成功表現に学ぶことを言うのです。
これはコピーに限らず、ほぼすべての業界で言える話。
基礎学習以上のものは、基本的に他からパクって覚える。
センスが重要視されそうなデザイナーやコピーでもそれは同じこと。
センスがないからできないというのは甘え。
数多くの事例を見て分析していけばプロレベルにはなれる。
センスはプロの中もさらに頂点を目指すときに必要なものだと思う。
「信じる」と「疑う」
A案を出す意味は、「ちゃんとご意向を理解してますよ」という確認でもあり、発注主は安心します。その上でB案を出すと、「これあるかも」とスムーズに決まりやすいのです。
無理な要求をふっかけたあとで、ちょっと難しい要求をすることで了承難度を下げるあの手法に近い。
2 案出すのは面倒でも、1 案だけよりも 2 案作ったほうが最終的に早く終わることは確かに多い。
A 案を出さずに B 案推しで行っちゃうのはデザイナーに多い印象。
そのために CD がいるのだろうけど。
回り道コラム ④
いくら情報を集めても、「データはデータ」です。その数字が何を意味するのか、正しく解釈しなければいけません。「聴く」ということは、相手の心の奥に潜む真実を感じ取ること。そこに必須となるのが人間のインサイトへの知見です。
集計したデータを見せても、そこからなにも見出だせない人というのはいる。
初めはなんで分からないのかが分からなかったのだが、最近になってユーザ視点というものがないか、バリエーションがとことん少ないからなのだと気付いた。
だが、それを伝えても本人は気付けないのか、それを気付いても想像できるインサイトが乏しいのか、なにも見出だせない人がそれでもいる。やはり根っこの部分は知見の量なのだろう。
こういう人にはどっかに実地研修に行ってもらうのがよいのだけどね。